ことぶきのゆらり歴史

日々の中に見つけられる歴史の楽しみを綴った、ゆる歴女のブログです。 一緒に楽しんでいただけたなら嬉しいです♡

ドラマチックな幕末史・『グローバル幕末史』町田明広

グローバル幕末史 幕末日本人は世界をどう見ていたか


幕末維新の本は、読みきれないほどたくさん出ています。

時代が近くて分かることがいっぱいあるし、魅力的な人物がこれでもかってくらいひしめき合っているし、なんと言っても派手、大きな出来事の連続だし、今年は明治維新150年だし。
微妙に写真が残っているのがまた良くて、視覚的にも想像しやすい。

想像が妄想を呼んで、ますます虜になる感覚です。


150年前のドラマを知りたい。大きく時代が動いた瞬間の物語を見たい。

本当のヒーローは誰なのか、正義はどこにあったのか、圧力と圧力と外圧の混乱、そこからきら星のように浮上する偉人たちの物語性、踊らされたのは?黒幕は?真実の在処は?有名人以外の99%の日本人の現実は??

こうして思いつくままに並べただけでも、魅力が尽きません。


幕末の混乱を眺めているうち、ああ、そうは言っても人間だなぁ・・・と思い至ります。

真実ってひとつじゃない。

本当はそんなにドラマチックじゃないかもしれない。いや、そうじゃないかもしれない。
ただの権力争いだったかもしれない。みんな本気で自分の正義を抱えてたのかもしれない。みんな本気になってるふりをしていたのかもしれない。みんなそろいもそろって時代の波に流されたのかもしれない。

明治維新は必然だったのかもしれない。偶然だったのかもしれない。


武士って、なんだろう。と考えますが、その本当の感覚はやっぱり、武士が存在した時代に生きた人じゃないと分からないんですよね。

武士がなんだったのか完璧には分からないから、幕末維新史ってやっぱりドラマチックなのだと思います。


私はゆる歴史ファンなので、歴史の年表を事細かに覚えたり解明したいわけじゃなくて(と言うか、できないのだけど^_^;)、物語を感じたいです。

想像するのが楽しくて、日常に香り付けするような、ちょっと旅行するような気持ちで歴史の世界に浸りたい。



前置きが長くなりましたが、この『グローバル幕末史』は、今まで読んだなかで1番、私を幕末に連れていってくれた本でした。

(と言っても、物語の本ではありません!!ちゃんと歴史を教えてくれる本です)



著者の町田明広さんが、以前雑誌のインタビューで、自分はどちらかと言うと「龍馬軽視説派」だと語られているのを見たことがあります。

この本の冒頭でも、現状の、ごく限られた人物重視・国内の対立史に偏重した捉え方ではなく、幕末史を世界史の中に位置付け、グローバルな視点で幕末政治史を捉え直した、と書かれています。

当時の日本人(特に幕府・薩摩・長州の武士達)が、世界をどう見ていたか。
欧米列強との対峙のなかで、それらの世界観がどのように変化していったか。
それが維新にどう絡んでいったか。
というところに焦点が当てられています。


また、攘夷思想というものを中心に据えて、幕末前夜の背景、幕薩関係を悪化させる原因となった軍需貿易の実態など、グイグイ迫ります。

登場する人物も多くて、読み応えがあります。


他にも町田明広さんの本を2冊程読みましたが、この方はもしかしたら一見クールに見えて(ものすごく勝手な想像ですが)内側がとても熱い方なのか、それとも一般歴史ファン向けにわざと想像を掻き立てる書き方をしているのか。。。


とにかく読んでいると、幕末に行けるのです。


特に面白かったのが、長州ファイブと薩摩スチューデントの章。

幕末に、長州藩薩摩藩がそれぞれ、極秘でイギリスへ留学生を送っているのですが、細かいいろいろな事柄は初めて知りました。

薩摩は藩が全面的にバックアップして留学生たちを送り出しているのに比べて、長州は藩が黙認の形しかとっておらず、立場としても経済的にも恵まれていない。
そんな中で長州ファイブの面々が「生きたる器械」となる使命を果たすため奮闘する姿は熱いものがこみあげます。
「悲壮感すら漂う」と書かれているとおり、自らの強い意志のみを頼りに目的を成し遂げようと励む長州の青年達は、色気さえ感じさせます。

長州ファイブに比べればぬるい環境にいた薩摩スチューデントの面々が、なぜキリスト教に傾倒したのか、その結果…というくだりも面白くて、わーってなりました。


この、当時日本国内では最悪の関係だった薩摩・長州両国の青年たちが、イギリスで交流をもっていたという話は、新鮮な感動でした。


もちろん国の行く末を考えて苦悩したのは西国雄藩の人たちとは限らず、幕府側にだって自分の目で見て考え行動した、優秀な人物たちがいたのです。




幕末、そして維新がなんだったのか、ひと言でくくるのは難しい。

けれど、この国のたくさんの若い人たちが、それぞれにものすごく頑張った時代であった事は確かなようです。




幕末に浸りたい時、何度でも読み返したくなる1冊です。





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